プライム案件とはクライアントと直接契約した案件のことを指します。
本記事ではプライム案件の特性やメリット・デメリットなど紹介していきます。
フリーランスエンジニアが受注する方法も紹介しているためぜひ参考にしてください。
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プライム案件とは?意味をわかりやすく解説
プライム案件とはクライアントと直接契約した案件のことを指します。
「prime(プライム)」の意味である「主要な・最上部」から来ています。
プライム案件は一般的にSIerが直接顧客と契約を結びます。
大規模開発になると資本力と人員リソースが必要となるため、大手SIerが受注するようになります。
SIerとはクライアントに代わってシステム構築をするシステムの開発会社のことです。
大手SIerの企業としてはNTTデータや富士通、日立、NECがあげられます。
ところで一次請けという表現を聞いたこともあるのではないでしょうか?
その違いを次で解説します。
プライム案件と一次請けの違い
プライム案件と一次請けの違いは案件と企業の違いです。
プライム案件は案件を指すのに対し、一次請けはプライム案件を受注する企業を指します。
用語 | 意味 |
---|---|
プライム案件 | クライアントと直接契約した案件 |
一次請け | プライム案件を受けた企業 |
プライム案件とエンド直案件の違い
エンド直案件は企業や団体から直接発注された案件という意味となります。
エンド直案件のエンドは、エンドユーザーを指し案件を依頼する企業や団体を指すからです。
そのため、プライム案件とエンド直案件は同じ意味となり違いはありません。
プライム案件のメリット
プライム案件に携わると以下の3つのメリットがあります。
- キャリアアップできる
- 年収がアップする
- より大きなやりがいがある
ひとつずつ解説していきます。
メリット1:上流工程を担当でき、キャリアアップできる
プライム案件を扱う企業に所属するITエンジニアは、クライアントとやりとりして要件をとりまとめ、費用やスケジュール、プロジェクト計画など上流工程の経験を積むことができます。
このスキルや経験を持つエンジニアの需要は高くエンジニアとしての市場価値の向上に大きくつながります。
実際、一度でもプライム案件を経験しておくとエンジニアとしての市場価値場大きく上がります。
顧客単価として月100万円以上をもらうことができ、給料も高くなります。
メリット2:プライム案件を受注できる企業は年収が上がりやすい
プライム案件を受ける一次請け企業は、案件とともに直接顧客から代金を受け取ります。
そして、二次請け、三次請けに案件を回す場合、利益を確保した上で作業を発注します。
作業内容と受注金額を配分することで、自社の利益コントロールができるのが、一次請け企業の特権です。
よって、一次請け企業は利益を確保しやすい構造になっています。
そのため一次請け企業に属していると給料も必然的に高くなる場合が多いです。
ただし、見積もりを誤ると逆に大きな赤字プロジェクトになります。
顧客にも社内にも目をつけられるため、見積もりを外さないことが重要になってきます。
メリット3:より大きなやりがいがある
プライム案件は自分でコントロールできる要素が大きいので仕事にやりがいが生まれます。
お客様の要望に対して「なぜ必要なのか?その目的ならこうしたほうが良いのではないか?」と直接、提案・改善ができる場合も多くあります。
言い換えると「裁量が大きい」ということでもあります。
リリースを終えるとお客様から感謝の言葉をもらうこともあります。
これが、二次請けだと「受注した仕事はやるしかない」の一択です。
二次請け、三次請けとなると理不尽な指示も増えてきます。
このようにメリットが非常に大きいプライム案件ですが反面デメリットも非常に大きくなります。
プライム案件のデメリット
プライム案件にもデメリットがあります。
- 責任が大きくストレスフルである
- 人間関係からくるストレス
- 判断するストレス
ひとつずつ解説していきます。
デメリット1:責任が大きくストレスフルである
クライアントから直接契約をしているプライム案件のため、トラブルがあれば一番に矢面に立つ必要があります。
システムが完成するまでの全工程の責任者であるシステムエンジニアは、それだけ感じる責任も重くなります。
ITエンジニアの単価も高いため10人のプロジェクトで1ヶ月遅れるだけで月1,000万円の支出となります。
想定外のバグも多く常に精神的にプレッシャーを感じるかもしれません。
開発の現場はチームプレイのため、冬のインフルエンザも致命的な遅延につながります。
デメリット2:人間関係からくるストレス
クライアントや協力会社と連携する必要があるプライム案件の担当者は人間関係にも苦労します。
とくに金融系や航空系等規模が大きなプライム案件は人間関係が非常に大変です。
「仕様を決めるのだから担当○○氏にも筋を通しておこう」
「依頼主の○○さんは案件丸投げがきついから気を付ける」
「メールのCCに入っている内容でクライアントの要求を察する」
「とりあえず筋を通す意味で○○さんをメールCCに入れておく」
「週1の定時ミーティングで進捗を共有する」
このような空気を読む力も必要となります。
スキルがあるから大丈夫と思っているエンジニアは苦い思いをするでしょう。
プライム案件は人間関係も大変だということです。
デメリット3:判断するストレス
これは先述した「裁量が大きい」と表裏一体のデメリットです。
二次請け以降であれば指示に沿って作業していれば問題のないことが多いです。
困ったら一次請けに質問するだけです。
しかし、プライム案件を受ける一次請けになると裁量がある分、自社で判断するかクライアントに確認すべきか判断が必要となります。
クライアントに確認する場合でも、システム的な話は通じないケースがあるため伝わるように変換する必要があります。
「判断をいちいち求められるのは面倒」
「なんでもかんでも確認するな!」
「なんでもCCに自分のメールアドレスを入れるな!」
上記の様に思う方は、プライム案件で苦労するでしょう。
問い合わせメールが100件/日きて精神的に参ってしまったエンジニアもいます。
自身の裁量で大量の指示を出すことは非常にストレスフルだと理解しておきましょう。
ちなみに筆者が感じる優秀なプライム案件の担当エンジニアは「最初はすごく細かく要件定義をしてその後はまかせる」というスタンスの人が多かったです。
逆にトラブルを頻発するプライム案件の担当エンジニアは「最初は丸投げで、後で細かくなる」というスタンスの人が多かったです。
丸投げすると後で対処する必要が出てきてしまいます。
どうしても細かく確認されるのがNGなら最初から細かく作業を依頼しましょう。
デメリット4:プライム案件でも客先常駐はありえる
客先常駐と聞くと二次請け配下のことを感じるでしょうが、プライム案件であっても客先常駐は大いにあります。
特に「金融系」「航空系」「電力系」など固い企業は客先常駐が中心です。
絶対にトラブルやデータ漏えいさせてはいけない案件では客先常駐が基本です。
責任あるシステムであるほど「リモートワークで自分らしく働く」といった働き方は難しいです。
その分、経験は貴重です。
関係者しか入れないバックヤードでの作業や最大桁数まで出力できるか本番テストのために資産家のデータで出力テストすることもあり、仕事がおもしろいと感じられる点でもあります。
フリーランスでプライム案件を受注する方法
一般的にプライム案件と呼ばれるような案件は企業間での取引となるため、フリーランスでプライム案件を受注するためには、下記の取り組みをして受注しやすいようにしましょう。
- 各企業とのコネクションを作る
- コンサルティングや欲求定義など上流工程のスキルをつける
- 一定規模のシステム開発ができる組織や資本作りをする
- 株式会社化をする
企業からみたときに高額なシステム開発の案件を個人事業主に発注するリスクを警戒します。
確保できるエンジニアの数、資本力、過去の実績など不安面が非常に多いからです。
ただし、少額の案件であればフリーランスエンジニアであってもクライアントから直接発注してもらうことは多くあります。
ただし、このような少額・小規模なプロジェクトの場合はプライム案件と区別する必要はないでしょう。
プライム案件に向いているエンジニアのパターン
私は、何人もプライム案件に携わるエンジニアを見てきました。
当章ではプライム案件の「活躍できるパターン」を紹介します。
リーダシップが発揮できる方
プライム案件はお客様や協力会社と連携して進める必要があります。
現在の状況、方向性、計画を随時すり合わせながら進行するにはリーダーシップが必要となります。
後方支援型の方
後方支援型の方は大手企業の50代以降のベテランエンジニアに多いです。
はたから見ると何もしないように見えます。
「○○よろしくー」のあいさつと愛想のよい笑顔が特徴です。
依頼主や2次請け会社とのミーティングでも主立って発言はしません。
ただ傍観している感じといった感じです。
「これで案件進むのかな」と思いますが進みます。
何もしないように見せかけて周りに自由に泳がせてるだけなのです。
大手企業ではリーダは何もしなくても勝手に回るため、都合がいいことが多いです。
デメリットとしては進捗が少し遅くなることです。
細かく要件定義する方
細かく要件定義する方はとにかくプロジェクト自体を詳細に管理したがります。
やりづらい面はもちろんありますが、このような方はあとから「○○もしてほしい」「○○も追加で!」「◯◯が抜けていた」など後から仕事が増えるケースが少なく、計画どおり進めやすいです。
さらにエンドユーザとの要件定義で詳細を詰めてくれるため、あとからの質問は少なくメンバーや協力会社の人はスムーズに仕事ができます。
このような方はメールの文章に固有名詞と数値が多いのが特徴です。
デメリットはエンドユーザとの要件定義に時間を要するためスタートダッシュが遅くなることや少々窮屈な点です。
ところで「プライム案件って連携する人が多くて大変そうだな・・・」と感じていませんか?
次ではプライム案件で人間関係にトラブルがないようにする方法を紹介していきます。
プライム案件において人間関係でつまずかないようにするには!?
私がフリーランスとしてプライム案件をこなす際の「人間関係」のコツをお伝えします。
私は金融系で働いていたので、金融系での話になります。
それは「誰かひとり」味方をつけることです。
私は「45歳以上」「傍流ポスト」「暇そうにしている」この3つに当てはまっている人を味方にしていました。
社内の45歳以上で割と暇そうにしている人と仲良くなっておきます。
クライアント側のシステム担当部署であれば最高です。
その人に、「人間関係」や「社内システム」についていろいろ教えてもらいます。
いわば、「社内案内人」をその人にお願いするイメージです。
- あの人は誰?
- ○○部の○○さんへの仕事の依頼方法
- 社内システムの支援依頼の方法
などいろいろ教えてもらいました。
さらに、仲良くなっておくと「各種申請を簡単に通す方法」なども教えてもらえます。
プライム案件が担当できる企業探しは転職エージェントの利用が必須
プライム案件はある程度大きな開発会社となります。
そのため、プライム案件を担当したい方は大手SIerを多く取り扱うマイナビIT AGENTがおすすめです。
マイナビIT AGENTは大手の転職エージェントであるマイナビが運営するIT特化のサービスです。
こちらに登録し、「プライム案件が担当できる企業を紹介してほしい」と相談してみましょう。
求人が出たタイミングで連絡をもらえるため、貴重な機会を逃すことがなくなるでしょう。
プライム案件の求人は非常に人気です。
エージェントに早めに相談して、誰よりも早く紹介してもらえるように早めの登録と相談がコツとなります。
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まとめ
プライム案件を受注できる企業に最初から所属することはなかなか難しいでしょう。
しかし、IT業界における案件工程のピラミッド構造を理解しておくことは重要です。
なぜならば、今いる自分の位置を把握することができるからです。
自分の位置が把握できれば、先の目標を定めることができます。
目の前の工程作業をこなすことも大切ですが、それだけでは先に進むことはできません。
将来、一次請けに所属し、上流工程に携わることができれば、自分のスキルや知識を存分に活かして仕事をすることができます。
また、自ずと報酬もアップすることでしょう。
その分のプレッシャーはありますが、高収入が望めてやりがいを感じることができます。
プライム案件はいわば「やりがいのあるハードワークで高収入な仕事です」
本記事が、プライム案件に関して参考になれば幸いです。